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【専門家監修】バーチャルオフィスに関する費用の勘定科目はなに?

バーチャルオフィスで法人登記をされているかたや個人事業主としてバーチャルオフィスで開業届を出されているかたの中には、バーチャルオフィスの利用料金は費用として計上できるのか?計上する場合はどの科目になるのか?と疑問に思ってらっしゃるかたもいるのではないでしょうか。

会計処理や確定申告が近づくと不安になりますよね。

すこし専門的な話になりますが、節税に繋がる場合もあるのでバーチャルオフィスをご利用のかた、会計処理や確定申告が不安なかたはぜひご一読ください。

本記事は専門家(公認会計士)監修のもと作成しています

バーチャルオフィスの費用は経費計上できるのか?

答えは「できます!!
バーチャルオフィスの利用自体が事業を運営する上で必要なもの(会社に利益をもたらすために使われたもの)であれば、それにかかるお金は当然経費として計上できます。

経費とは?

それではそもそも「経費」とはなんでしょうか。

わかりやすくいうと「事業を運営するために使われたお金(支出)」のことです。

個人事業主でも法人でもおおまかにいうと売上から経費をひいたものが利益となり、その利益に対して税金がかかります。

経費の額によって支払わなければならない税金の額も変わるため、経費として計上できるかどうかは事業を運営する上で重要です。

経費の計上には経理的処理(仕訳)が必要

経費に計上するということは、つまり経理的な処理をするということです。

詳細な説明は割愛しますが、経理的な処理のことを仕訳と呼び、いつどのような支出/収入があったのか、などをきちんと振り分けて記録することが必要です。

仕訳は取引が発生するたびに正しく行うことが大切です。

仕訳が正しくないと納めるべき正確な税金の額を把握することができません。
悪意をもって利益を過小に計上したり使ってもいない費用を計上したりすると、脱税とみなされて罪に問われる可能性もあります。

また罪に問われなくても仕訳の結果として作成される財務諸表がいい加減だと、企業としての信頼を失ってしまいます。

勘定科目とは?

仕訳とはいつ、どのような、支出/収入があったのか、を記録することだと説明しましたが、どのようなにあたる部分が勘定科目です。

とはいっても様々な支出・収入があるのである程度のルールがないと煩雑になってしまいますよね。
それらをカテゴリ分けするために分類が決まっており、その分類名を勘定科目と呼びます。

勘定科目の代表的な例として、イメージがつきやすいものでいうと
毎月の水道代や電気料なら「水道光熱費」、文房具や日用品だと「消耗品費」、商品や売上を上げるために使ったチラシの費用などは「広告宣伝費」
などがあります。

なお勘定科目はコロコロと変えてよいものではありません(継続性の原則)

経費によっては、Aという勘定科目でもBという勘定科目でもどちらでも問題ないケースがあります。
だからといって「今月はAにしよう、来月はBにしよう」と勘定科目を期間ごとにコロコロ変えてしまうと、期間的比較が正確にできなくなってしまいます。

そのようなことを防ぐために会計処理においては一度決めた勘定科目を継続して使用するようにしましょう。

バーチャルオフィスで使う勘定科目はこれだ

前置きが長くなりましたが、さっそくバーチャルオフィスの利用料金を仕訳するための勘定科目を確認していきましょう。 

バーチャルオフィスの利用料金

まずバーチャルオフィスサービスの基本料金は支払手数料として計上するのが一般的です。

電話代行サービスなどのオプションサービスを合わせて利用している場合には外注費を使うこともできますが、どちらの勘定科目を使っても税金はかわりません。
そのためまとめて支払手数料することをおすすめします。(バーチャルオフィス事業者でも領収書が一つになっている場合がありますがあえてわける必要はありません)

一度支払手数料で会計処理をした場合は、継続して支払手数料で仕訳するようにしましょう。

バーチャルオフィス基本料金以外のサービス

バーチャルオフィスでは、住所貸しだけでなく郵便転送や電話代行サービス、会議室レンタルなどさまざまなオプションサービスがあります。

バーチャルオフィスでよくあるオプションサービスで使われる勘定科目は以下のとおりです。

郵便転送・電話代行:通信費
時間貸し会議室:会議費
印鑑等の事業で使用するこまかな物品購入:雑費 (20万円を超えると固定資産となる可能性があり、その場合減価償却という手続きで費用化します)

バーチャルオフィスで使う勘定科目まとめ
  • バーチャルオフィス基本料金 → 支払手数料
  • 郵便転送・電話代行 → 通信費
  • 時間貸しの会議室 → 会議費
  • 印鑑等の事業で使用するこまかな物品購入 → 雑費
  • 会社設立、法人登記代行 → 支払手数料

レンタルオフィス、シェアオフィス等の物理的なオフィスを借りている場合

住所貸しだけではなく事務所としてもつかえるレンタルシェアオフィス、コーワーキングスペースもあわせて利用している場合は異なります。

その場合は事務所を実際に借りる経費となるため賃貸料地代家賃とするのが一般的です。

地代家賃は土地や建物などを借りる場合、賃貸料は物品(車両や機械、事務用品のリース等)をレンタルする場合に使用します。

レンタルオフィスを一部屋を契約する場合は部屋の契約のため勘定科目は地代家賃ですが、コワーキングスペースを利用する場合などOA機器が含まれていると勘定科目は賃貸料です。

どちらの勘定科目になるのかは、実際契約したレンタルオフィスやシェアオフィスでどういった利用をしているかで判断する必要があるため、不安な場合は税理士や税務署にご相談ください。

個人事業主と法人で使われる勘定科目違い

では、バーチャルオフィスの利用料などを仕訳する際に個人事業主と法人とで違いはあるのでしょうか。

バーチャルオフィスに関して個人事業主と法人で認められる経費の範囲が変わることはないため、バーチャルオフィスの利用で発生する基本料金や郵便転送費用、電話番号転送サービス、会議室利用などの勘定科目は個人事業主も法人も同じです。

※バーチャルオフィスに関しては個人事業主と法人で変わりはありませんが、経費として認められる幅は法人のほうが大きいのでご注意ください。

START
個人事業主と法人、どちらで事業を行うのがよいか? 〜個人事業と法人のメリ・デメを理解しよう〜事業を始めるにあたって、個人事業主としてやっていくか法人を設立するかのいずれかを選択する必要があります。それぞれどのような違いがあるのか、メリット・デメリットはあるのかということが分からないと決められないですよね。この記事では個人事業と法人の違いを説明します。...

まとめ

少し専門的な話にはなりましたが、バーチャルオフィスの利用料は経費として計上できます。

  • 事業を運営するために必要なお金は経費にできる
  • 一般的に使う勘定科目は、物理的にオフィスを借りている場合は賃借料地代家賃
  • 物理的なオフィスや場所はなく住所貸しのみの場合は支払手数料
  • バーチャルオフィスに付随するオプションで使う勘定科目は、転送費用や電話代行は通信費、会議室を時間で借りる場合には会議費
  • バーチャルオフィスの利用で発生する経費の範囲は個人も法人も変わらない

監修:山本

リモートワークの普及による働き方の変化や副業の解禁を受けた個人のネットショップ開設など、個人の方が起業するケースが増えています。
そんなときに便利なのがバーチャルオフィスで、新しいサービスや機能も増え、より充実してきています。

個人・法人問わず、起業する上で重要なことの1つは銭勘定です。
バーチャルオフィスの費用も事業運営上必要な経費です。記事にあるようにわかりやすい科目で継続して記録していくことで、自分の事業がうまくいっているのか、どんなところに費用がかかっているのかなどを容易に把握できます。

起業家の皆さんはビジネスのみならず、経理や財務の知識も身につけることが必要だと思います。

監修:山本樹(公認会計士)
経歴

1998年4月
センチュリー監査法人(現EY新日本有限責任監査法人) 入所
2001年4月公認会計士登録
2007年7月
GMOインターネット株式会社(現GMOインターネットグループ株式会社) 入社
2011年6月
GMOクリック証券株式会社 監査役
2012年1月GMOクリックホールディングス 株式会社(現GMO フィナンシャルホールディングス 株式会社) 取締役
2012年11月
GMO フィナンシャルホールディングス 株式会社 取締役兼執行役
2013年6月
GMOクリック証券株式会社 取締役
GMOクリック・インベストメント株式会社 取締役
FXプライム株式会社(現株式会社FXプライムbyGMO) 取締役(現任)
2014年5月
GMO CLICK Bullion Limited(現GMO-Z.com Bullion HK Limited) 取締役(現任)
2014年10月
GMO CLICK UK Limited(現GMO-Z.com Trade UK Limited) 取締役(現任)
2016年6月
GMO フィナンシャルホールディングス 株式会社 取締役兼常務執行役
GMOクリック証券株式会社 常務取締役(現任)
あおぞら信託銀行株式会社(現GMOあおぞらネット銀行株式会社) 社外監査役(現任)
2016年10月
GMO Wallet株式会社(現GMOコイン株式会社) 監査役(現任)
2016年11月
GMO-Z com Trade (Thailand) Limited(現GMO-Z com Securities (Thailand) Public Company Limited) 取締役(現任)
2017年6月
GMOフィナンシャルホールディングス 取締役兼常務執行役 グループCFO
2018年2月
GMO-Z.com Trade Limited 取締役
2018年11月
GMOクリックグローバルマーケッツ株式会社 監査役
2020年3月
GMOフィナンシャルホールディングス 株式会社 取締役兼常務執行役 CFO(現任)
2021年6月
GMOアダム株式会社 取締役(現任)
2021年8月
当社 取締役(現任)
2021年9月
外貨ex byGMO株式会社 監査役(現任)
2022年4月
GMOビジネスサポート株式会社 取締役(現任)
2022年7月
GMO-Z.COM BUSINESS SUPPORT CANADA, INC 取締役(現任)
GMOオフィスサポート

事業者の住所をお貸しするサービスです。具体的には、事業者の住所として掲載可能な住所の提供・登記可能な住所の提供・郵便物等の受取・当該住所を用いた銀行口座開設申込等を可能にするサービスです。事務所の賃貸・レンタルオフィスとともに「バーチャルオフィス」という選択肢もぜひご検討ください。

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