事業を始めるにあたって、個人事業主としてやっていくか法人を設立するかのいずれかを選択する必要があります。
それぞれどのような違いがあるのか、メリット・デメリットはあるのかということが分からないと決められないですよね。
この記事では個人事業と法人の違いを説明します。
ご紹介する情報を参考に、様々な角度から検討してご自身が進む方向を決定してください。
個人事業主と法人の違いを知る
まずは個人事業主と法人それぞれ項目ごとの違いを表にまとめてみました。
自分はどちらを選ぶべきかを選択する材料としてご覧ください。
個人事業主 | 法人 | |
事業開始の届け出など |
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開業に必要な資金 |
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税金面 |
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税務申告 |
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事業主の責任 |
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社会的信用 |
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事業主の報酬 |
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社会保険 |
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この中でも大きな違いとしてよく挙げられる3つの点について見ていきます。
- 手続き
- 社会的信用
- 税金
個人事業主と法人の比較1:手続き
手続きについては想像がつきやすいと思いますが個人事業主より法人のほうが圧倒的に手間がかかります。
法人を設立するには素人ではなかなか難しいこともあり司法書士など専門家にサポートしてもらうかたも多くいらっしゃいます。
なおご自身で登記手続きを行う場合でも必ず費用が発生します。
また法人でも株式会社や合同会社、非営利法人等、会社形態によって手続き方法が異なり、登記が完了するまでに必要な期間も数週間〜数ヵ月かかるなど様々です。
個人の場合、個人事業主として税務署に開業届を提出する必要がありますが開業届の手続きは比較的カンタンです。
また必ずしも開業届けを提出する必要はありません。
個人事業主と法人の比較2:社会的信用
一般的な事業の場合、信用力という点においては基本的に法人の方が有利です。
例えばあなたが就職するとして個人事業としてビジネスをやっている組織と法人の組織とがあった場合、採用条件がほとんど変わらないとしたらどちらを選択するでしょうか?
多くの方が法人の組織を選択すると思います。
このように採用面だけではなく、金融機関の審査や取引先の開拓において有利に働くケースが多いと考えられます。
ただし法人として事業を行う場合は会社法に則った運営が求められるなど責任も多く発生します。
その分長く続ければ続けるだけ社会的な信用も増すでしょう。
個人のかたでも開業届を提出しているかどうかで大きな違いがあります。
開業届を出し青色申告する場合は、複式簿記を始めとした経理的な知識が必要な上、毎年変わる税制の知識も必要です。
その分法人と同じく長く続ければ続けるだけ社会的な信用も増すでしょう。
一方で個人で事業を行なっているかたでも多くの利益をあげて社会的な信用を得ているケースも見られます。
例えば作家や作曲家、芸術家などは会社組織にしてもあまりメリットはありません。
また弁護士や弁理士、税理士、社会保険労務士などは原則個人の資格でしか開業できません。
このように職種によって必ずしも法人化する必要がない場合もあります。
個人事業主と法人の比較3:税金
個人事業主と法人の違いで最も大きいのは税金面です。
経費
法人は個人事業主に比べて必要経費として認められる幅が広がります(生命保険料や社宅賃料、役員報酬など)。
売上から経費を引いた利益に対して税金がかかるため、必要経費として認められる幅が大きいほど納税額に影響し、そのぶん法人のほうが有利といえるでしょう。
「個人事業主の所得税」と「法人の法人税」
利益に対してかかる税金ですが、個人事業主の場合は所得税が発生します。
一方法人の場合は所得税ではなく法人税という形で発生します。
法人税は23.30%なのに対し、所得税は課税対象の所得額に応じて最大45%です。
所得税は所得額に応じて税率が高くなるのに対し法人税は大きく利益が出た場合でも税負担の割合はあまり変わらないため、所得が高ければ高いほど法人化することによるメリットが大きいと言えるでしょう。
※2022年9月30日時点
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
195万円未満 | 5% | 0円 |
195万円〜330万円未満 | 10% | 97,500円 |
330円〜695万円未満 | 20% | 427,500円 |
695万円〜900万円未満 | 23% | 636,000円 |
900万円〜1,800万円未満 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円〜4,000万円未満 | 40% | 2,796,000円 |
4,000万円〜 | 45% | 4,796,000円 |
参照:国税庁 > 所得税の税率
住民税
個人事業主の場合は「住民税」として、法人の場合は「法人住民税」として発生します。
以下のとおり、個人事業主と法人では算出方法が異なるので個別で比較が必要です。
住民税:(所得金額 – 所得控除額) × 10% – 税額控除額 + 5,000円(均等割)※
法人住民税:法人税額 × 税率
※東京都の場合
事業税
事業税はそれぞれ「個人事業税」「法人事業税」として発生します。
算出方法はどちらも所得に税率を乗じるので同じですが税率が異なるため注意が必要です。
東京都主税局 > 個人事業税
東京都主税局 > 法人事業税・法人都民税
このように所得が大きいほど税金に対するメリットはありますが、そのぶん法人化した場合は決算が必要なため経理的な負担は増えます。
ご自身の事業のステージにあわせて選択するのがよいでしょう。
個人事業主に向いた仕事とは
前述のとおり職種によっては個人事業に向いたものもあります。
なかでも技術やセンスを活かす仕事を行っている方が個人事業主には多くいます。
例えば資格ビジネスやラーメン屋・居酒屋などの飲食店、雑貨屋さんなどの小売店などがあります。
これらのケースでは自分の実力がお客さまから認められれば法人にする必要はありません。個人であっても十分に信用を得る事が可能です。
その他個人事業に向いた仕事はどんなものがあるか以下をご参考ください!
種類 | 内容 | 特徴・メリット |
資格ビジネス | 資格を取得しその資格を使って事業をはじめる 例:税理士、行政書士など |
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小売・飲食店ビジネス | やりたいお店を始める 例:アクセサリー店、ラーメン店など |
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在宅ビジネス | 自宅で出来る自分のやりたい仕事を始める 例:イラストレーター、ライター、プログラマー |
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インターネットビジネス | インターネットを活用し、物の販売やサービスの提供などを始める 例:ネットショッピング(輸入雑貨店、産地直送店)など |
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フランチャイズ | チェーン店の加盟店、特約店になり事業をはじめる 例:ファミリーレストラン、コンビニエンスストアなど |
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事務所住所にバーチャルオフィスという選択肢
在宅ビジネスやインターネットビジネスの場合、はじめからオフィスを賃貸契約してスタートするというのは費用も手間も負担が大きく自宅を事務所として事業を開始するケースも多いのではないでしょうか。
しかしながら、インターネット上や名刺、取引先などに自宅住所を公開するのは抵抗がある方も多いと思います。
例えば女性で一人暮らしをしているかたや家族と同居しているかたは、住所を公開してしまうことにより一層不安を抱かれると思います。
そんな時の選択肢としてバーチャルオフィスの利用があります。
バーチャルオフィスとは事業者の住所として掲載可能な住所の提供・登記可能な住所の提供・郵便物等の受取と転送を行ってくれるサービスです。
GMOオフィスサポートでは660円〜住所を利用することができ、都内では渋谷や銀座をはじめとした一等地をご用意しているので顧客や取引先などステークホルダーの信用を得ることもできます。
以上、本コラムがあなたのビジネスに少しでも参考になれば幸いです。
事業者の住所をお貸しするサービスです。具体的には、事業者の住所として掲載可能な住所の提供・登記可能な住所の提供・郵便物等の受取・当該住所を用いた銀行口座開設申込等を可能にするサービスです。事務所の賃貸・レンタルオフィスとともに「バーチャルオフィス」という選択肢もぜひご検討ください。